駅の東口に越してきてもうすぐ3ヶ月。
にぎやかな西口にはあまり行く気がしない。
こちら側の時間は、駅から離れるほどゆっくりと流れている。
古い家やうすぐらい酒屋、深い階段で猫が休んでいるし
茶畑もある。人が少ないから、歩くスピードもゆっくりでいい。
生まれてから21年間住んでいた場所は、山の中にある住宅地で
あるのは自然と家だけだった。辺りは驚くほど静かで、
地面や植物をじっくり観察しながら歩くのが普通だった。
飼い犬たちはよく散歩を拒むので、道に立ち往生してしまって彼女たちに
「歩きたくないの?」と声をかけたりもした。
そのころに似た感覚を今日ふと感じた。
無条件に人に優しくなれる感覚。
気持ちが放射状に外へ馴染んで開放されていく感覚。
体が先に納得するから、変なとこでつまづかない。
そういえば、私はそうだった。それなんだった。
呼吸もずっと深かったから穏やかだった。
呼吸と同じくらい、たぶん
愛も深かった。
人は変わり続けていくけれど、生理的なことはきっと変わらない。
だから大丈夫ね。
私は求めていた闘いの中にちゃんといます。
不細工な食べ物が好きです。